研究開発テーマ
日立製作所(#1~3)は2次元量子ビットアレイの開発とそれを制御する回路からなる量子コンピューティングシステムの研究開発をしています。量子物理的な設計とそれを動作させる論理的な設計を含み、コンピュータとして全体を連携動作させます。
神戸大学(#4、5)は、半導体チップを含む部品を、必要な環境にハードウェア的に実装する極低温複数チップ実装システムの研究を推進しています。シグナリング技術や熱を含むシミュレーション技術も含みます。また、本研究での量子ビット高精度制御・高感度読み出しには、多数の量子ビットから得られる様々なデータを活かしたデジタル補正技術を用います。そのために、量子ビット動作の再現性が鍵であるため、再現性に影響する希釈冷凍機の中の環境(電圧、温度など)をモニタリングすることも行います。神戸大学の研究は日立の量子コンピューティングシステムとして、環境データは量子ビット制御へフィードバックされます。
東京工業大学の小寺チーム(#6)はシリコン量子ビットに関する量子物理理論研究をベースにして、シリコン量子ビットをなるべく高温で動作させるための研究を行なっています。シリコン量子ビットの動作温度は、原理的には超電導量子コンピュータより高くできる可能性があり、これは冷凍機の冷却能力を格段に大きくできることを意味し、実装上の熱問題を克服する点で鍵のひとつでもあります。(#6)
東京工業大学の米田チーム(#7)と理化学研究所(#8)は、日立製作所の研究開発課題である“量子ビットアレイチップ”を構成する基本の「小規模な実験回路」を作製し、小規模量子演算の検証と実装します。これにより量子ビットとしての性能評価および大規模化で生じる課題の抽出を実施し、量子ビットアレイ構造の最適化を行うことができます。